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   西田 亙の本:GNU 開発ツール -- hello.c から a.out が誕生するまで --

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2003-11-30 (Sun)

[Hard] 原始 Apple I に触れる

Vintage Computer に注文していた Replica I レトロセット がアメリカから直送で届いた。メモを見直すと、10/20 に注文したようだから、1ヵ月以上かかったことになる。すっかり、忘れかけていた・・。この機会に、Replica I について、簡単にまとめておく。

Replica I は、1976年ガレージカンパニーとして誕生した Apple が最初に販売した歴史的ワンボードマイコン「Apple I」のレプリカである。実際に出荷された Apple I (当時の値段は $666.666)の台数は約200台であり、そのうち現存するものは数十台と言われている。

Apple I は MOS technology 社製の 1MHz 6502 を搭載し、Dynamic RAM は on board で4KB搭載、ビデオ出力は NTSC 方式で 40 文字x24 行、入力手段は ASCII キーボードのみ、プログラムらしきものは 256 バイトに納められた Woz monitor だけであった。まさに、「原始マイコン」そのものである。

で、この Apple I を現代に復活させようと考えたのが Briel Computers のVince Briel氏。詳細は HotWired の記事に詳しい。日本語翻訳記事もあるが、今一の日本語なので、原文 "Woz OK's Apple I Resurrection" の方をお勧めする。インタビュー中での次の一言が印象深い。

I'm hoping this project generates interest in creating hardware and
exploring computers the way they used to be.
I just want to help people relive the 8-bit computer experience and get more people
involved in the history of computers and collecting.

"the way they used to be" そして "relive the 8-bit computer experience" という言葉に、激しく同意。そうだよなぁ、こんな時代だからこそ8ビットなんだよなぁ。

実際に Replica I を世に出すためには、Apple 対策も含め、色々な苦労があった模様。残念ながら Replica I の詳細なハードウェア仕様は公開されていないが、その概略は System Block Diagram から伺い知ることができる。最も重要なビデオ回りは、Atmel ATMEGA8 にお任せとなっていることが分かる。

さて、早速荷物を開封。Replicat I 本体と共に、懐かしの Apple II キーボードと電源が現れた。それにしてもごっついキーボードだ。アルミの板にキートップが、がっちり固定されているから、その安定感たるや凄まじいものがある。昔のパソコンって造りがしっかりしていたのねぇ。

で、中身であるが、上記のキーボード・電源・本体の他には、RCA コードが一本と CD-ROM 1枚が添付されているのみ。なんだか寂しいっす・・。

ともかく、CD-ROM に納められた15ページほどの日本語版ユーザーズマニュアルを打ち出す。あまりに貧相なその内容に、不安がよぎる。とりあえず、電源・キーボード・RCA ケーブルを接続し、スイッチON!

お〜、キーボード上の POWER ランプが艶めかしい色に点灯したぞ。何やら真空管アンプみたいだねぇ。急いで、テレビの入力をビデオに切り替える。すると、画面左下に四角いブロックカーソルが出現している。もちろん、点滅なんて芸当はできない。キーボード上のリセットキーを押すと、バックスラッシュが現れて Woz monitor のお出ましだ。

やっぱ、「男は黙ってモニター」だよねぇ、とモニターコマンドの解説を探す・・が、まともなページがこの簡易マニュアル中には存在しない。モニターの使用方法は2ページに渡って書かれているが、これではお話になりませんです、ハイ。"location 300" を "300 行" に誤訳している箇所もあるし、元々の英文マニュアルもひどい代物である。挙げ句は「Apple I ユーザーズマニュアルをダウンロードし、参照してください」ときたもんだ。

その志は大いに買うけれど、ドキュメントが三流以下では話にならぬ。Briel Computers 逝ってよし。こうなったら、自力で 6502 の道を歩むしかなさそうだ、やれやれだね。