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最近読んだ本の中で、ショックを受けた事があります。幼稚園児に「かたいたべものはなんですか?」というアンケート調査を行ったところ、なんと"きゅうり!"と答える子供が、少なからずいたのだそうです。なるほど、その目で見回してみれば、子供のみならず、大人が食べているものも、極端に柔らかいものばかり。"歯応えを楽しむ"という表現は、現代日本では、もはや死語と化しています。
咀嚼力を必要とする場面が少なくなれば、強靱な顎も不要になりますから、現代人の顎はどんどん退化していきます。しかしながら、顎は小さくなるものの、永久歯の数はそのままですから、狭いスペースに歯が立ち並ぶ"乱ぐい歯"となり、後年様々な問題を引き起こします。ですから、子供には幼少時より、"噛み応え"のある食事を与えることが大切なのです。
この問題は、専門書籍にもそのまま当てはまります。昨今の出版物を見ていると、離乳食のように柔らかくかみ砕かれた説明が、目立つように思います。読者は、著者がミキサーにかけた知識をひたすらに"丸飲み"するだけですから、咀嚼力が身につく訳もなく、知らず知らずのうちに"思考の顎"は退化していく訳です。医学生もそうですが、手軽なアンチョコ本に手を出してしまう、若い人達を責めることはできません。責めるべきは、次の世代の数十年後の姿にまで想像力が及ばない、今の大人達でしょう。
Computer Architecture Series 第二弾は、そのような状況に対する私なりの挑戦でもあります。果たして、読者の方々に拙著を通じて、咀嚼力を身につけて頂くことは可能なのか?10年以上にわたり考え抜いた結果が、"ブレッドボードI/Oプログラミング (Breadboard I/O Programming)"と題する作品です。