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2001年5月に出版された "それがぼくには楽しかったから" を遅まきながら、第9章まで読んでみた。面白い、実に面白い。
この本は「一般」の読者を対象にしたもののようだが、本来の読者対象は間違いなく「ハッカーの卵達」である。ハードウェアを直接操作した経験がない人達が読んでも、Linus 氏の真の意図は伝わらないだろう。もしくは、共著者である Diamond 氏はそのあたりも計算して、構成を練っているようにも見える。
私は本を読む時、共感した部分は耳を折る癖があるのだが、今数えてみると156ページまでで18ヵ所ある。そのうち、耳折りだけでは我慢できず、思わずオレンジのラインマーカーで印をつけたのが、6ページ。
さて、これは私の経験からのアドバイスだが、本を読む場合、漫然と読めば良いというものではない。たとえ相手が書物であっても、一対一でディスカッションしている位の緊張感で臨むべきである。貴重な人生の限られた時間を割くのであるから、なにがしかを得なければならない。
残念ながら、どんなに優れた書籍であっても、得られる情報というのはたかが知れている。数百ページの書籍であっても、大切な部分は数行にも満たないものだ。逆に言えば、読後に一言でエッセンスを表現できるか。これが、大切。
「それがぼくには楽しかったから」の読者は世界に五万といるだろうし、感じるところは人それぞれだろうが、私が前半156ページの中から抽出したエッセンスは次の一行である。
136ページに記載された、この一言が私の全身を貫いた。原文が読めないのが極めて残念だが、Linus 氏の気持ちは痛いほどに理解できる。と当時に、私が現在いくつかの連載を通じて読者に訴えようとしていることは、まさに Linus 氏がこの本で語っている経験を現在に再現することなのだと、確信を得た。Linus 氏は142ページで次のようにも述べている。
奇しくも12年前の明日だ。なんという偶然!実は、GCC プログラミング工房の第4部では Linux 0.01 を題材に用いて、連載を展開するつもりであり、まさに先週あたりから下調べを始めたところだったのである。
JUST FOR FUN、良い言葉、そして良い響きだ。私の使命は、Linus 氏の経験をより多くの人達に再体験してもらうことにある。最後に、第5章プログラミングの美しさから引用。
明日、じゃなかった今日、早速原書を注文しよう。
明けて、amazon.co.jp にて検索。なんと原書の JUST FOR FUN には、CDやカセット版まであるらしい。凄いなぁ・・。一体誰の声で吹き込まれているのだろう?Linus 氏?せっかくなので、奮発してハードカバー版を注文。特に急がないので、今回は国内発注。8〜9日かかるらしい。もう少し早くならないものか。
本日の到着書籍、その1。先日、amazon.com で偶然発見した、GNU Bash のリファレンスマニュアル。昨年暮れにイギリス Netowork Theory Ltd. から発刊されたもの。かねてから、余計なことが書かれていない「薄い」Bash マニュアルが欲しかった。オライリー本はチャチャ入れすぎ&厚すぎ。かと言って info を印刷するとかさばってしまうし・・。
この点、届いた本は理想的。サイズもコンパクトでナイスだ。定価(29.95US$)のうち1ドルは FSF にフィードバックされるらしい。元原稿はオリジナルサイトで PDF ファイルとして公開されている。地味ではあるが、こういう出版も大切だろう。願わくば、binutils/GCC 系も是非とも出版して欲しい。ちなみに amazon.co.jp を介して注文すると「通常3〜5週間以内に発送します」らしい。あのねぇ・・。