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先日ふとしたことから、Schemix の存在を知った。Schemix は William Bland 氏が行っている、「Scheme interpreter の Linux kernel への組み込み」プロジェクトである。私は今のところ、Scheme どころか LISP もチンプンカンプンなのだが、このサイトのフロントページに示されている Schemix session を見て、頭がクラクラしてきた。これは危険だ、あまりにも魅惑的過ぎる・・。
Schemix に近いアプローチとしては、Forth engine を積んだ、OpenBIOS が有名である。実は、私も若き日は Riggy Forth に憧れた一人だが、いかんせん Forth は所詮 Forth。OpenBIOS のような限られた分野であれば威力も発揮するのだろうが、柔軟性・応用性に欠けることは否めない。その点、Bland 氏が示した実例はその将来性と発展性を強烈に感じさせるものがある。LISP 門外漢である私の目から見てもだ。
しかし極めつけは、氏が示した Roadmap にある。0.3.0 あたりでも十分インパクトがあるが、0.4.0, 0.5.0 と進むにつれて思わず我が目を疑う内容になっている。時間的なズレはあろうとも、もしもこの Roadmap が着実に実現されていくならば、Linux カーネルは新しいひとつの転換期を迎えることになるだろう。これは Torvalds 氏が予想もしなかった展開に違いない。
Schemix の動向に大いに期待すると共に、Schemer としての修行も今から積んでおく必要あり・・と、ちと焦る。こりゃ、当分寝られないね。
Scheme が話題に上れば、忘れちゃならないのが Gauche: A Scheme implementation だ。何と言っても、日本が誇る Hyper-lisper、川合史郎さんによる国産インタープリターである。UNIX USER 2003' 7月号の特別企画「使って遊ぶ! Gauche による Scheme スクリプトプログラミング」で、その名前を知った人も多いだろう(何を隠そう私もその一人だ<オイ!)。
「随分文章のうまい人だなぁ・・」と思って拝見していたら、あるネット記事で、なんと Gauche の作者その人だと知る。渋い、渋すぎる。おまけに、このインタビュー記事が面白いこと。川合さんは、その後 UNIX USER 2003' 9月号で、特集「スパムメール一掃大作戦」を執筆されているが、これがまた近年まれに見る名著である。
コードが書けて、文章も書ける。こういう人には滅多にお目にかかれるものではない。川合さんをライターとして迎えた UNIX USER 編集部に心底恐れ入ると同時に、もっと氏の記事を読みたいと願うのであります。