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   西田 亙の本:GNU 開発ツール -- hello.c から a.out が誕生するまで --

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2003-09-15 (Mon)

[Time] Leap second にはまる

Grid Timestamps: the Leap Second Problem

すっかり頭の中が閏秒で染まってしまった。時刻に関する検索をさらに深めたところで、タイトルの文献を発見。アイルランドはトリニティー大学で公開されているものだが、これがなかなかの名著。特にイントロは秀逸だ。DJ Bernstein 氏もこれぐらいのドキュメントを書く力量があれば、Richard Stevens 氏の再来になれていたのにねぇ・・。

The Clock Mini-HOWTO

定番の Linux-HOWTO シリーズにも、クロック関連のものが存在した。ざっと見た限りでは、clockspeed が取り上げられているものの、名前だけである。具体的な解説はなされていない。記事中で紹介されていた http://www.linuxsa.org.au/tips/time.html もチェックしておこう。

Measuring the irregularities of the earth's rotation

「時間城」とも言うべき総本山は International Earth Rotation and Reference Systems Service (IERS) にある。このサイト中に存在するタイトルのページを訪ねれば、時間に関する疑問が氷解する。ここまで紹介してきた資料だけでは、どうしても数多くの疑問が残るのだが、IERS の資料をひとつひとつ読み込んでいけば、そのほとんどは解決するだろう。

「新しいテーマに取り組むときはリファレンスに当たるべし」、これ鉄則也。しかし、この大きな地球が私達人間と同じように不規則なリズムをもって自転しているとは驚きだ(心拍数と一緒だね)。生物は揺れの中を生きている。地球もしかりだったとは、面白い!

以上で、時間を巡る旅は一旦終了。連載もの数回分に匹敵する資料が集まった。後は、カーネルやユーティリティーソースを検証して、細かな肉付けを行えば完成だ。

さて、これから子供を連れて森林公園へ出発。久しぶりに二人で汗をかこう、地球のブレに思いを馳せながら・・。

[Linux] Linux man pages

文書環境が劣悪の Linux には OpenBSD に見られるような、man pages が整備されていない。ちなみに glibc を提供している GNU もしかり。Stallman 氏の Linux への苦言はよく耳にするが、ユーザーへの説明責任を果たしていない GNU もどうかと思う。

この点、BSD ではソースディレクトリ中にソースと共に man ファイルが共存しており、さすがだ。カーネルと密接な関係にある標準ライブラリーを外部に依存するべきではない。Linux と glibc はお互いが利害関係だけで結ばれており、プログラマーは蚊帳の外。結果として、include, man ファイルの整備は放ったらかしだ。どうして誰も両者を厳しく追及しないのだろうか?

いじけていても仕方がないので、前向きな話もしておこう。Linux/GNU がやらないのであれば、ワシがやる!ということで、立ち上がった人達がいる。

  • Merk Perkel's Linux Man pages
    • 最新の状態にアップデートされているリファレンスサーバー。
  • die.net
    • 完全ではないが、説明に手が加えられていたり、デザインセンスが良いので個人的にはお気に入り。漏れがあるファイルもあるので注意。
  • SGI Man Pages
    • なんとあの SGI が運営しているドキュメントサーバー。さすがは SGI、勘所を押さえてますな。BusyBox の man file まで納められているのには、参った。完敗だ。プロとアマチュアの違いを示す良い見本。でも、出力型式はダメダメ。レイアウトに関しては die.net が一番。

Linux man pages はどこにある?

上にも述べた通り、Linux における include/man files は鬼門である。本来開発者がやるべきことをディストリビューターや個人がサポートしているため、無法地帯と言っても良い。基本セクションに関しては、ftp://ftp.win.tue.nl/pub/linux-local/manpages/ から最新ターボールを入手可能。