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本屋で「基礎から学ぶロボット製作の実際」を手に取る。トランジスタ技術愛読者の間では有名な吉田幸作氏と鈴木憲次氏の共著だが、本書全体には「吉田節」が流れている。ロボットを題材にして、メカトロの基礎が丁寧に説かれている名著なので、早速購入。
吉田節をまだ知らない人は、是非「著者からのメッセージ」を読んでほしい。吉田氏も、日本が世界に誇るハードウェア野郎の一人であることが分かる。
実は、最近吉田氏が属する ESP 企画から封筒が届き、「教育マイコン テクニカルプラザ」と題する8ページの瓦版が入っていた。この中に、"日本の将来を担うエンジニアを育てる・・新しい試み" という副題が添えられた「小中学生のためのロボット製作教室開催」というニュース記事がある。その冒頭で氏曰く、
「青少年の理科ばなれ」、「モノ作り技術の空洞化」が指摘されて久しくなります。 戦後の焼け跡から驚異的な経済発展を遂げたと言われている技術立国の日本、 その発展の原動力となってきた「モノつくり」の基盤が崩壊しつつあるとしたら・・・ これは日本の将来にとって由々しき事態です。
そこで、氏はアナログデバイセズ社製の ADuC814 を搭載したロボット制御基盤を開発し、C言語の開発環境を整備したそうである。名付けて「Cロボ」。で、はたして自分の考えが正しいのかどうか、岐阜市の全面的支援を受け、4日間のロボット製作講座を企画し、これを実行された。再び曰く、
人口6万余りの地方都市で本当に参加者が集まるのか・・最後まで確信は持てませんでした。 しかしふたを開けてみると定員を上回る36名の豆エンジニアが集まりました。 ほとんど全員がそろって全教程を終了し、発表会では親もびっくりするほどの技を披露してくれました。 当日は地元新聞の取材もありましたが、小学5年生の参加者が記者のインタビューに 「授業よりテレビゲームよりずっと面白かった。機会があればまた参加したい」 と答えていたことを翌日の紙面で知りました。
当該記事中で紹介されている、小学生達の表情を納めた写真がどれも素敵なのだ。女の子の顔も見える。皆、いい目をしている。これこそが教育だよなぁ、と思わず感傷にひたる。文部科学省も高等教育機関だけに目を向けず、こうした市井の優れた教育者への研究費配布を、真剣に検討してほしいものである。