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   西田 亙の本:GNU 開発ツール -- hello.c から a.out が誕生するまで --

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2003-10-28 (Tue)

[Hard] H8モード始動

H8/3664FP 到着

自宅に帰ると、秋月電子より H8/3664FP ボードなどが届いていた。素早いなぁ、秋月電子も今やRSコンポーネンツなみだね。

H8 ボードと言えば、これまでは H8/3048F が有名だった。私も何枚か持っていたりするのだが、3048 シリーズ には致命的な欠点がある。それは内部フラッシュメモリーの書き換えに、12V電源が必要なこと。つまり、H8/3048F をプログラミングするためには、2電源が必要になるのである。これは大層不評だったらしく、最近の H8 シリーズは、5V単一電源で書き込み可能になっている。

H8/3664 は、3048 の機能を絞り込み、小型化を図ったものである。メモリー空間は16ビット(64KB)に制限されており、搭載メモリもフラッシュが 32KB、RAM が 2KB と、3048 (128KB/4KB)に比べると一回りほど小さい。しかし、機械語の入門者にとっては、十分すぎるほどのスペックと言えるだろう。

3664 のパッケージには DIP (Dual Inline Package)に加えて FP (Flat Package) があるが、本日届いた K-159 キットは、後者を搭載しているため、40x27mm と驚くほど小さい。クリスタルを始め、RS-232C レベルコンバーターまで実装済みになっているため、ユーザーに必要とされる作業は、ピンコネクターをハンダ付けするだけである。なんと簡単なのだ。しかも、これだけの代物が1600円である。つくづく、良い時代になったものである。

ちなみに秋月電子は、この基本モジュールに Windows 上の開発ソフトやライターソフトを添付したものを4500円で販売している。拡張ボードが添付されているとは言え、2900円もの差額は少々高すぎるのではなかろうか?

ほとんどの Windows ユーザーにとって、開発ツールは未だに「購入」するものなのだろう。私も10年前まではそうだった。しかし、今は違う。開発ツールは、自分で「ビルド」するべきものである。

思い返せば、20年前の私は「コピー」という原罪を背負いながら Lattice C を使っていた。心のどこかに、「悪いなぁ」という後ろめたさがあった。当時のC/Pascal コンパイラーには、10万円を超える値段が付けられていたからである。私の原罪を払拭してくれた GNU 開発ツールと PC-UNIX 環境に、心から感謝したい。

さて、この「超小型 H8/3664FP ボード」だが、そのままでは使えない。別売りの「H8タイニーI/Oボード」と接続することで、RS-232C・電源回路(006P 使用)が提供される設計になっている。それぞれ1600円、700円であるから、なんと2300円で乾電池駆動の高性能CPUボードが手に入る訳だ。

そして、H8 シリーズを何より特徴づけている点は、特別な外部回路を用意しなくても、RS-232C を通じて、ホストPCから手軽に内部フラッシュメモリーをプログラムできることにある。これに対して、AVR や PIC では、内部フラッシュをプログラムする際に、かなり煩雑な手順が必要であり、専用のライター回路を必要とする。私はこのメリットを高く評価し、最終的に H8 CPU ボードに落ち着いたのである。

さて、気分はH8モード全開。ひとつ、H8 クロス開発環境を整備してみますか?あ、Linux 上のライターソフトも書かないとね。