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   西田 亙の本:GNU 開発ツール -- hello.c から a.out が誕生するまで --

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2003-10-03 (Fri)

[Time] 恐るべし Motorola Oncore

GPS 探索を続けていく中で、今回購入する GPS receiver の最終候補は Motorola の UT+ Oncore に決定した。「このレシーバーさえあれば、しょぼい NTP サーバーなんか No thank you!」という感じ、だね。ちなみに先日紹介した、KEK/Kamiokande の時刻同期システムでも、補助システムとしてこの Oncore が使われている。

Oncore は Motorola の製品だが、このドキュメントがとてつもなく凄い。Motorola ほどの巨大企業ともなると、エンドユーザー向けの技術資料など、なかなか整備してくれないもの。しかし、そこは世界を代表する超一流企業、気合いの入れようが違う。私は、Oncore のドキュメント群をダウンロードして、速攻この製品を購入することを決めた。丁寧な文書を通して、技術者やテクニカルライター達の自社製品に対する愛情、そしてエンドユーザーに対する誠意を感じたからである。

英語を学んでつくづく良かったと思うことは、じつはこういう時である。知識を入手できることよりも、その背景にある人間性や会社の成熟度が見えてくる方が、個人的には遙かに面白い。残念なことに、私はこのような感覚を日本の企業を通して、感じたことはまだ一度もないが・・。ドキュメントを通して見た日本企業は、実に未熟である。

[Hard] Nintendo meets the Motorola

さて、ここからが本題だ。Motorola のホームページをチェックしている最中に、先日超弩級の記事を見つけた。「Motorola and Nintendo Join Forces to Define Wireless Portable Gaming」と題したプレスリリースは、とんでもない内容である。なんと、Motorola がGBA用の無線通信モジュールを Nintendo に供給するというのだ!うっそ〜〜〜、である。

詳しい仕様はまだ明らかになっていないが、2.4GHz の帯域で TDMA (Time Division Multiple Access)というプロトコルを用いて、最大5人の同時プレーを可能にするらしい。来るべき時が、来ましたか・・。モジュール本体はこんな形。何やら、鬼のツノのようなものが見えるが、恐らくこれが Motorola 自慢の通信アンテナではないかと思われる。通信モジュールと本体の接続は、この写真から判断すると、通信ポートが使われている。

気になるのは、"The Motorola chipset contains a 32-bit RISC architecture baseband processor" という件。私が察するに、これは ARM7 だね。なぜなら、Oncore も ARM7 を搭載しているし、何より Nintendo との Colaboration が発表された数日後の「Motorola Expands ARM Core-Based Product Roadmap for Mobile Multimedia Applications on Smart Handheld Devices」というプレスリリースが、その可能性をプンプン臭わせている。

それにしても、ARM の選択といい、Nintendo の選択眼の素晴らしさには恐れ入る。Nintendo がなぜ国内企業にソッポを向けて、Motorola と組んだのか。その理由を想像すると面白い。人間同士の関わりであるから、単に技術力の問題だけでなく、先にも述べた会社や人間の成熟度というのも大きなファクターなのではなかろうか?

参考までに、同プレスリリースを Game freeks 向けに焼き直したものは、ここあそこにある。

このネタは大層インパクトがあるので、日本でも色々な雑誌やメディアで取り上げられるだろう。しかし、記事としての面白さは「なぜ Motorola なのか?」まで踏み込めるかどうかにかかっている。そういう目で、メディアを読み込んでいくと、なかなか面白い。

さて、お兄さん。ARM and ARM かもしれんですよ、とうとう GBA も来年から無線通信ですよ、となると当然 Linux ホストにこのモジュールをつなげたいよね。なんだか最近、年甲斐もなくドキドキすることが多いのである。秋だから?