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   西田 亙の本:GNU 開発ツール -- hello.c から a.out が誕生するまで --

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2004-04-27 (Tue)

[Hard] USBid.comから74BCT8244到着

先日紹介した「JTAGテストの基礎と応用」の第4章で紹介されていた JTAG 対応のオクタルバッファー、74BCT8244 に注目。この LSI は、Texas Instruments 社の Scope family の一員。

24ピンDIP パッケージの型番は SN74BCT8244ANT だが、TI 社のページによると、現時点で「在庫はなく、取り扱いディストリビューターも不明」とのこと。すぐさま、google で検索をかけたが、国内はもちろん海外の通販会社にもこのパッケージを取り扱っているところは、見つからなかった・・。

20年前は、この時点で断念せざるを得なかった訳だが、今は違う。私のように一介の素人さんであっても、IP reachable であれば、底知れぬパワーをネットワークから享受することが可能だ。

こういう時には、一般的な通販会社ではなく、Dead stock などを専門に取り扱う会社が役に立つ。今回私が利用したのは、USBid.com。同社が提供している、無料のパーツ検索サービスで、SN74BCT8244 を検索し、ヒットしたいくつかの会社に合い見積もりを取った。同日中に見積もりがFAX で届き、この中で値段が最も安かった業者に対して、正式に発注。

対応は極めて良心的で、丁寧。1週間後には、我が家に20個の SN74BCT8244ANT 達がやって来た。四国の片田舎に居ながらにして、所望 の LSI を自在に取り寄せられるとは、なんて素晴らしい時代になったのだろう。おかげで、いよいよ「JTAG 道」の幕開けである。

[Thoughts] GNU 開発ツールを開発せよ!

Handel-C で触発されてからというもの、どうやら大脳皮質の中で RTL (Register Transfer Language/Register Transfer Level)が新たな発火を始めたらしい。いよいよ、GCC 内部の奥深い世界へ、踏み込むべき時がやってきたようだ。

これまでは、巨大メーカーが設計した CPU や周辺 LSI でボードを設計し、同 CPU に対応した GNU ツールでソフトウェア開発が行われてきた。しかし、この旧態依然とした開発スタイルは、既に終わりを告げつつある。

これからの時代は、FPGA 上にオリジナルの CPU と周辺回路をデザインするだけに止まらず、開発ツールである GCC や binutils のターゲットアーキテクチャ向けのカスタマイズ、場合によってはオリジナル言語コンパイラーさえ、自前で用意する時代なのではなかろうか?

ということで、簡単な下調べを行う。すると、さすがに世界は広い。大学教育の場で、既にこのあたりをテーマにして、魅力的な授業を行っている人達がいる。

かの Berkeley 大学で行われる GCC Investigation は、まさに私が考えていることを、具現化したような授業だ。高いお金を払ってでも、聴講に行きたいッス。

もうひとつは、お隣の韓国は Seoul national university MASS (Microprocessor Architecuture and System Software) LAB にて 1997 年から行われている歴史ある授業。講義資料が PDF で公開されているのだが、極めて残念なことに「ハングル語」で記述されている模様。私の文書環境では・・・・で解読不能。しかし、ところどころに現れる英語の記述を見る限り、素晴らしい講義資料であることが伺える。韓国の学生さん、羨ましすぎ・・。

いずれにせよ、「クロス開発」ごときで浮かれている場合ではないのである。これからは、開発ツールそのものを、自分で整備する時代だ。

とは言うものの、GCC や binutils の内部世界は難攻不落の牙城である。誰にでも制覇できるような代物ではない。そこで、目先の利くインドの技術者達が GNU 開発ツールのカスタマイズを立派な商売にしておられる。SANKHYA TECHNOLOGIES がその会社。

それにしても、世界は広い、日本は・・・狭い。